第60回 東海教育社会学研究会 報告

    報 告: 山田真紀氏(椙山女学園大学)

    テーマ: 教科外活動の国際比較調査

         ―研究枠組みとこれまでの調査結果の紹介―

    日 時: 2003年7月12日(土) 15時~

    場 所: 金城学院大学

  山田氏は、教科外活動の国際比較調査には当該社会における学校の役割範囲と社会的機能を知るという意義があるとし、従来の教育社会学におけるカリキュラム研究の概念に加えて自身で新たに加えられた分析概念を使用して、日本、オーストラリア、フランスの教科外活動について比較分析を報告された。

 氏はまず、教育社会学のカリキュラム研究における既存の概念として、ヤングの「知識成層化」「知識の類別」、バーンスティンの「類別」「枠付」、「顕在的カリキュラム」「潜在的カリキュラム」の3つを整理された上で、新たに、教育すべき課題の実現方法を示す「領域」「横断」と、カリキュラム構成の基本理念を示す「領域」「内容」という分析枠組みを創出された。「領域」「横断」の枠組みは、国語、算数などの教科において課題が実現されているか、または算数の中で国語的課題を教えるというように教科を超えて課題が実現されているかを分析するものである。また、「領域」「内容」は、教科の枠を出発点としてカリキュラム構成がなされているか、または本質からカリキュラム構成がなされているかを分析する枠組みであるとされた。

 さらに氏は、以上の既存の概念と新たな概念を用いて、日本、オーストラリア、フランスの教科外活動について詳細を紹介され、特徴を分析された。はじめに日本は、類別が強く、教科間の関連づけのために新たに「総合的学習の時間」を設けており、「価値」「社会性」の育成のために実現方法として「領域」と「横断」の両方が用いられているという特徴を挙げられた。またカリキュラムの構成については、「領域」重視ではあるが「内容」も重視しようとするために教育課程過密を招いているという問題なども指摘された。

 次にオーストラリアは、枠付が弱く、「価値」「社会性」の育成のために実現方法として「横断」が用いられていることを報告された。また日本との最も顕著な違いとして、保護者による学校運営のサポートが行われていることを挙げられた。カリキュラムの構成は「内容」重視であるが、学習省が詳細なシラバスを作成していることから、行政と現場の関係に今後注目したいと述べられた。

 最後にフランスは、教科が重視されており、教科外活動の歴史は浅いことを紹介された。また「価値」「社会性」の育成のために実現方法としては「領域」「横断」が用いられていること、カリキュラムの構成については「内容」が重視されていることなどの特徴を挙げられた。

 以上の氏の報告を受けて、「領域」「横断」、「領域」「内容」の概念の定義について、階層やエスニックの問題を研究の中にどのように位置付けるか、低学力と階層差の拡大と教科外活動の実施方法やカリキュラムとの関係、各国における教科外活動の社会的位置付けの違い、などに関して活発な質疑がなされた。教科外活動の研究に留まらず教育社会学的な研究への発展も示唆される意義深い報告であった。

(東海教育社会学研究会事務局:中島葉子)

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