第73回関西教育社会学研究会のご報告

 第73回関西教育社会学研究会は、2004年5月8日(土)、大阪大学で行なわれた。報告者は、薄葉毅史氏(京都大学研修員)と志水宏吉氏(大阪大学)であった。
 薄葉氏の「Norbert Eliasとユダヤ青年運動」と題する報告では、Eliasに関する近年の伝記的研究から彼が青年期にシオニズム青年運動に深く関与していたことが報告さ れ、ドイツ・ユダヤ人としてのEliasの社会構造上の位置や生活体験が後年の彼の社会学に深い影響を与えているのではないかという仮説が提示された。報告後、「19世紀後半のドイツにおいてリベラリズムが後退していったのは何故か」「Eliasがその社会学からユダヤ性の痕跡を消そうと努めたのはなぜか」などについての質問がなされた。また、同様の生活体験を持つR.BendixとEliasの類似性についての指摘もなされた。
 志水氏の「スクール・エスノグラフィーを考える」と題する報告では氏のこれまでの研究史をたどりつつ、(1)エスノグラフィーの方法的な意義と課題(目 標としての「文化の記述」、エスノの文体、科学的基準との折り合いの問題)、(2)学校現場との関係(研究者の現場での類型、現場にどのような次元で関わ るのか)、(3)エスノグラフィーの価値(「適切性」と「妥当性」の問題、研究が現場にどのように貢献するのか)等についての概略が示された。報告後、 「研究者はどこまでインサイダーになれるのか?」「インサイダーがエスノグラフィーを書くことができるのか、またその意義は?」「エスノグラフィーを執筆 する際に誰を読み手に想定するのか、またそのことによる記述のバイアスをどう処理するのか」等について活発な議論がなされた。

(関西教育社会学研究会事務局)


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