第62回東海教育社会学研究会のご報告

報告者 : 渡部 晃正 氏  (桜花学園大学)

テーマ : 母親の社会的ネットワーク 
  -<子育て情報の獲得>と<交際のネットワーク>に着目して-
日 時 : 2004年 7月17日 (土) 15:00~17:30
会 場 : 椙山女学園大学・星が丘キャンパス
      「学園センター」第2会議室(4階)

 子育てにかかわる情報に結びつく社会的ネットワークは,配偶者,親,親戚などの親族と,友人や地域の人々などの非親族,それに園や相談機関などの施設を はじめとする社会的な資源によって形成されている。渡部氏は,このような問題意識をもとに母親の社会的ネットワークに注目し,地方中核都市において実施さ れた「家庭教育調査」の結果を利用し,子育て期の母親の社会的ネットワークについて考察された。
 まず、分析に当たって社会的ネットワークの概念を採用することの意義を述べられ、また,社会的ネットワークは,個々人がおかれる状況次第で「資源」とし ても「拘束」としてもそれぞれ機能することについて指摘された。さらに、サポートネットワーク論,子育て支援(サポート)問題、インフォーマル・フォーマ ルな関係の存在についても論じられ、「交際ネットワーク」と「ケアのネットワーク」と2つの基本的なネットワークの存在を強調された。
 渡部氏は,とりわけ母親の交際のネットワークに注目し,・子育て情報の"活用"状況とその"効果"及び・活用される情報源の"位置"関係(関係の社会的 文脈)について検討された。とくに夫婦が揃った「夫婦ペア」の"母親"と"ワンペアレント・ファミリー"の「ワンペア」母親について,子育て情報にかかわ る保有資源としての社会的ネットワークに違いがあるかどうか、について特に着目した分析がなされた。
 氏が使用したデータは,平成13(2001)年7月に地方中核都市(愛知県X市)において実施された「家庭教育に関する実態及び意識調査」から得られた ものである。市内の幼稚園・保育所(ともに4歳児,5歳児クラス)に子ども通わせている両親を対象とし,質問紙を用いた園(園児)を通しての託送調査法に より実施されている。
 調査の結果として,夫婦ペア母親の場合,配偶者(=夫),同世代,自分の親,友人,先生の活用頻度が高い。すなわちこれらが夫婦ペア母親にとって主要な 情報源であることが分かった。一方,ワンペア母親に関しては,友人,自分の親,先生,同世代の活用頻度が高い。子育て情報の"効果"については,ともに自 分の親,同世代,先生,友人,専門家からの情報の効果を高く評価しているが、とくに夫婦ペア母親は,同世代からの情報の効果を最も高く評価し、他方で、ワ ンぺア母親は専門家(医師・保健婦等)を最も高く評価しつつ,反対に相談機関への評価はやや低い。
 最後に、渡部氏は社会的ネットワーク概念の有用性とともに限界をも指摘され、社会的ネットワーク概念を実践的に活用するための方法論の確立が必要であると主張された。
 以上の渡部氏の報告に対して活発な質疑応答がなされた。とくに「夫婦ペア」「ワンペア」以外の分析軸の可能性について、あるいは調査実施対象選択の妥当性といった論点について議論が交わされた。
(文責:東海教育社会学研究会事務局・岩村ウィリアン雅浩)


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