テーマ部会の発表申し込み受け付け

 今年度の大会より正規に開設することになりました「テーマ部会」について、テーマを募集しましたところ、会員の皆さまから2つのテーマが寄せられました。それに研究委員会から提案するテーマを加えて、今年度は6つのテーマでもって、発表者を募集します。「テーマ部会」は、フロンティア的なテーマの開拓、学会大会のさらなる活性化を目的にしています。会員の皆さまには、是非、「テーマ部会」での発表をご検討いただきたく、お願い申し上げます。
 発表をご希望の方は、このブリテンとともに送付します「大会のご案内」に沿って発表の申し込みを行ってください。ご注意いただきたい点は、それぞれ、部会を構成できるだけの申し込みがあった場合に、部会を開設するという点です。申し込み件数が少ない場合には、当該の部会は開設しません。テーマに関係する発表をお考えの皆さまには、是非ともテーマ部会での発表をお申し込みくださるよう、お願いいたします。
 なお、もし、部会が開設できなかった場合、当該の部会に申し込んでいただいた方には、一般部会で発表していただくことになります。また、部会構成上、テーマ部会で発表を申し込まれても、一般部会での発表をお願いする場合もございます。発表の申し込みにあたっては、希望発表部会のひとつは、必ず、一般部会から選択するようにお願いいたします。
 テーマ部会については、提案者にコーディネーターさらには司会をお願いすることにしています。また、発表者が互いに発表内容を事前に知ることができるように、発表要旨の交換など、研究委員会でお世話することになっています。さらに総括討論の時間を十分にとれるように、プログラムを工夫することになっています。皆さまの積極的な申し込みにより、6つのテーマのすべてにおいて部会が開設できることを願っています。
 なお、部会が開設できたかどうかについては、学会のホームページにてお知らせします。
 6つのテーマの設定の趣旨は、以下の通りです。

(研究委員長:飯田浩之)

テーマ部会1
「今日の教育社会学における「理論」の検討」

提案者:牧野智和(早稲田大学)

テーマ部会2
「子どもの貧困と教育」
提案者:研究委員会(小澤浩明・中京大学)

テーマ部会3
「後期近代論のインプリケーション」
提案者:研究委員会(岡本智周・筑波大学)

テーマ部会4
「父親の教育社会学」
提案者:研究委員会(多賀 太・関西大学)

テーマ部会5
「歴史研究の可能性Ⅱ」
提案者:研究委員会(木村涼子・大阪大学)

テーマ部会6
「学校に行かない子どもⅡ」
提案者:酒井 朗(大妻女子大学)


<テーマ部会1の【趣旨】と【キーワード】>

 近年の教育社会学会では理論部会が開催される年もあれば、そうでない年もある。これは端的に、諸テーマを相互媒介・交通整理するための概念・論理としての「理論」(北田暁大)それ自体への志向が、教育社会学というディシプリンにおいては弱まっているということなのかもしれない。ただこれは理論性の単純な「消失」を意味するものではなく、個々の実証的な研究プロセスの中に理論が分かちがたく入り込み、また研究成果そのものが理論的立場の発現であるというスタイルが今日の研究の主流になっている、ということを意味するものだと考えられる。
 そのような状況の中で、本テーマ部会は、あえて教育社会学における「理論」それ自体について考えてみることを目的としたい。つまり、教育社会学というディシプリンに関わる者が個々のテーマを越えて広く利用し、また個々の研究を深めていくことができるような理論的資源の発掘(つまり、既存の研究成果の再検討でももちろんよいわけだが、未だ光を当てられていないような研究でも、また他分野の研究からの参照でもよいわけである)・検討・共有を意識的に行ってみようというのである。このような、諸テーマを媒介・整理するものとしての「理論」について改めて考えてみることは、まず「研究者としての私たち」にとって意義があることだと考えられるが、同時に、教育社会学を教え、その面白さへと学生を誘おうとする「教育者としての私たち」にとっても意義があることだろう。
 ただ、今日において、抽象的な理論枠組を提示するのみでは、それが有用だと認められることはおそらく難しいだろう。そこで本部会では出来る限り、アクチュアルな問題に取り組む中で鍛え上げられてきた、またアクチュアルな問題の記述・解釈・解決に寄与するような理論枠組み、概念、方法論について情報を提供し合い、お互いに考え合うことができればと考えている。
【キーワード】教育社会学理論、方法論、教育社会学教育


<テーマ部会2の【趣旨】と【キーワード】>
 日本教育社会学会では、2009年度、2010年度の2回にわたり、「子どもの貧困と教育」というテーマで課題研究をおこなってきた。1年目が実態分析の共有、2年目が「学校で何ができるのか」に焦点を当てて検討した。
 しかし現実には、子どもの貧困は解決されてはいないが、その一方で、政府レベルでは、子ども手当が実現され、市民レベルでは、「子どもの貧困ネットワーク」のような運動も生まれてきている。また、福祉の現場では生活保護のワーカーたちが、生活保護世帯の子ども達に勉強を教えるというような取り組みも各地で始まっている。
 こうした政策、運動取り組み、取り組みの検証も含め、教育社会学の研究レベルとしては、子どもの貧困の実態がどうなっているのか(その実態と変化)、学校教育に何ができるのか(可能性と限界)、社会政策としては何が必要なのか(政策実態の検証と新たな提言)を引き続き、追及していく必要があると考え、テーマ部会を設定したい。
【キーワード】貧困、再生産、社会保障


<テーマ部会3の【趣旨】と【キーワード】>
 「後期近代」という言葉が社会科学の諸分野で頻繁に用いられるようになって久しい。この術語が現代社会の諸側面についての新たな説明を可能にした一方で、言葉に込められる意味が多彩になっていく印象もある。本部会では、後期近代の諸特性を多様な観点から提示していただき、それらを説明するための分析概念の原意を改めて検討することとしたい。そうした作業を通して、ただ「現代」の言い替えとして用いられるのではない「後期近代」の姿を明確にし、後期近代論に依拠して教育と社会を記述・説明することの利点を把握することを目指す。
 「後期近代」という概念が持ち出されることの第一義的な意義は、「古典的近代」「固定的近代」と名指される「前期近代」とは異なる状況を表現しながらも、「ポストモダン」「脱近代」の概念を用いた説明とは異なった現状分析を提示できることにある。「後期近代」の概念は、近代性そのものについての記述や批判を可能にする一方で、現代社会を近代性がさらに純粋に作用する社会ととらえてあくまでも近代の線上に置くことで、逆に利用可能な近代特性を提示することも可能にする。教育事象の検討においては、制度や構造の批判に終始するだけでなく、それらの再設計を志向する論述も可能となり、観察・記述・分析に留まらない価値や規範の検討と提示の可能性も広がる。そしてそこには、後期近代を論じる際の研究者の責任が問われる事態も生じる。
 本テーマ部会では、「後期近代」に言及しながら教育社会学研究を行っている研究者にご登壇いただき、上述のような「意義」や「責任」を手始めの論点として、後期近代論のインプリケーションを俯瞰することにしたい。教育社会学研究への適用可能性と、実際の分析と考察において切り拓かれる可能性を提示し合い、併せて、「後期近代とはいかなる時代か」についての理解が学会員に共有されることを目指す。
【キーワード】後期近代の諸特性、再帰的近代化、責任


<テーマ部会4の【趣旨】と【キーワード】>
 従来から、「父親」は教育社会学研究における1つのキーポイントであった。例えば、教育社会学の伝統的アプローチである社会化論においては、父親は子どもの一次的社会化を担う重要な社会化エージェントに位置づけられてきたし、階層と教育研究においては、父親の学歴や職業が子どもの教育達成や地位達成を説明する変数として使用されてきた。しかし、母親に比べれば、父親については、抽象的に語られるにとどまる傾向にあり、その具体的な様子を明らかにしようとする研究もまだまだ少ないように思える。
 また近年、教育学、社会学、心理学など、教育社会学の近接領域においては、父親に関する実証的研究が増加傾向にあるが、その多くは、いかにして父親を育児に参加させるかという問題意識に支えられた研究である。もちろん、そうした研究は、男女共同参画やワーク・ライフ・バランスといった政策的・実践的課題に応えるうえで重要であり、今後もさらに蓄積されることが求められる。しかし同時に、ライフコースの個人化が進み、子どもを持たない男性が増え、「父親であること」のあり方も多様化している今日、育児参加の枠を超えて、改めて「父親」の意味を問い直すような作業も必要であるように思える。
 こうした問題意識に基づき、教育社会学における今後の父親研究の可能性を探るべく、本テーマ部会を設定した。教育社会学的アプローチは、父親研究にいかなる広がりと深みをもたらしうるのか。また、「父親」に焦点を当てることで、教育社会学研究にいかなる発展が期待できるのか。父親に関する研究の成果を互いに持ち寄り、各報告の知見を共有した上で、さらに議論を深めたい。
【キーワード】階層、ジェンダー、個人化


<テーマ部会5の【趣旨】と【キーワード】>
 歴史研究は、これまで教育社会学発展の一翼を担ってきた。1970年代から90年代にかけての教育社会学者による歴史研究は、近代日本における学校教育制度の確立および学歴の社会的機能の展開、教養主義の発達と変容などの教育に関わる社会変動について、データを基にその実像を明らかにするとともに、それらが近代的な産業構造、社会階層ヒエラルキーの形成にいかに貢献してきたか、また、近代家族や子ども観といかなる関わりをもってきたかなど、社会学的な概念・枠組みを用いてダイナミックな分析をおこなってきた。それらの研究は、教育社会学の分野にとどまらず、歴史研究全体に対してもインパクトを与えてきたと言っても過言ではなかろう。
 近年の歴史研究は、その担い手も研究対象も幅を広げつつ発展してきている。その中で、実証性を重んじ、ていねいに史料を収集・読み込む手法が定着してきていると思われるが、それがために、個々の研究は、よりピンポイントで時期やトピックを限定した形でおこなわれる(そうならざるを得ない)傾向が生じているのではないだろうか。良い意味で研究テーマ(何についてどこまで明らかにするのか)の焦点化がすすむとともに、個々の研究がもつ認識枠組みや視点が「狭い」ものになっている可能性が考えられる。必然的に生じる個々の研究の「限界」は、研究者相互で材料を提供しあって議論することによって乗り越えることができる。
 本テーマ部会では、具体的な歴史研究の報告を3~4本ほど募集し、それぞれにご報告をいただいたのち、互いのデータや分析結果を比較することによって浮かび上がる共通性と差異、相互に関連するパースペクティブなどを考えていきたい。そうする中で、個々の歴史研究をつなぎあわせ、教育社会学分野の歴史研究オリジナルでなおかつ汎用性の高い概念や理論枠組みを新たに生み出していくことをめざす。
【キーワード】歴史研究、歴史研究における概念や理論枠組み


<テーマ部会6の【趣旨】と【キーワード】>
 本部会は、長期間にわたり学校に行かないでいる様々なタイプの子どもの問題を、教育権の保障という観点から統一的に捉えることで、これまでのわが国の教育問題の理解に再考を迫るとともに、現行の教育統計や教育行政の在り方を批判的に検討することを目的としている。
 周知のとおり1990年代の日本では、神経症型を典型として不登校対策が立てられるとともに、学校は児童生徒にとってストレス因だと批判され、心の居場所になるべく変革されることが求められた。しかし、これまでの調査研究から、不登校・長期欠席問題は貧困などの社会経済的要因と密接にリンクしている。不登校や長期欠席の子どもは、学校に行かず教育をうける機会を失うこととなり、社会的に周辺部へと排除されていく危険性が高い。
 また、高校が実質的に義務化段階にある今日では、高校中退者や様々な理由で高校に進学しなかった子どもも、同じく学校に行かない状態にある子どもとして分析されるべきであろう。そのような観点から言えば、外国人の不就学者の問題などにも共通項を見いだすことができる。
 こうした問題群を括る概念として、我々は「学校に行かない子ども」という呼称を提案している。アメリカやイギリスでは、ここで取り上げる諸問題を、「absenteeism & drop out」問題として論じることが多い。我々の提案はそうした問題把握の仕方に通じるものであり、「学校に行かない子ども」というタイトルのもとに、不登校・長期欠席問題と中退問題、ならびに関連する諸問題を一括りに捉えて検討することの必要性を唱えている。
 本テーマ部会の基本的な問題関心は、昨年度学会大会の「学校に行かない子ども」部会で提案者が報告した。今回はそれを踏まえて「学校に行かない子どもⅡ」というテーマ部会を開催したい。不登校問題、中退問題、外国人の教育問題、さらには児童養護施設の子どもや生活保護世帯の子どもなど、特定の状況下にある子どもの高校不進学や中退問題など、様々な研究発表のエントリーが期待できる。
【キーワード】不登校・長期欠席問題の批判的検討、中退問題、外国人の不就学問題


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