次回大会・課題研究のお知らせ

*次回大会では次の二つの課題研究を開催いたします。どうぞご参加ください。

 

課題研究(1):政策科学としての教育社会学-教育調査の視点から,その在り方を問う-

 

【趣旨】
 昨年の課題研究では,量的研究に関する課題研究が開催され,教育社会学会における量的研究の意義と課題について,活発な議論が行われた。そこで論点の一つとして挙げられたことに,日本では「行政レベルでなされている各種の教育調査が十分に分析されていない」あるいは「そもそも行政レベルの調査が,精緻な分析に耐えうる調査設計になっていない」という問題がある。この問題は,教育調査の実施・活用の在り方だけの問題にとどまらない。学力や労働をめぐる,さまざまな審議会の議論においても,教育社会学の視点と教育行政の視点が乖離している場面はしばしば見受けられる。
 政策科学は,教育社会学の学問的アイデンティティの一つである。であるならば,本学会は,行政と学会の視点の乖離をただ批判したり,日本固有の事情として諦観したりするのではなく,その乖離が具体的にはどのようなものであり,それを克服するためには何をなすべきなのかを,真剣に考える必要があるだろう。以上の問題関心から,本課題研究では,教育調査の視点から,政策科学としての教育社会学の在り方を再検討してみたい。
 第一報告では,これまで政策科学としての教育社会学研究に積極的に携わってきた会員から報告をいただく。教育社会学の視点や知見を教育政策に生かそうとするとき,どのような課題に突き当たるのか,その課題を克服するための方策として何が考えられるのかが主な議題となる。第二報告では,米国における教育社会学と教育行政の関係について詳しい会員から報告をいただく。行政レベルの大規模調査が多く実施され,そのデータが研究に活用されることが多い米国において,行政と学会はどのような関係を構築しているのかが主な議題となる。第三報告では,教育行政に携わっている政策担当者をお招きして報告をいただく。教育行政の視点に立ったとき,教育社会学の視点や知見を活かすことに,どのような課題があり,それを克服するための方策として何が考えられるのかが主な議題となる。三つの報告をふまえて,教育調査の視点から,政策科学としての教育社会学の在り方を考えたい。

 

【構成】

報告1 政策科学としての教育社会学の課題
     藤田英典(共栄大学)
報告2 米国における政策科学としての教育社会学を支える制度的基盤
     深堀聰子(国立教育政策研究所)
報告3 教育行政の立場から見る教育社会学
     徳田耕造(尼崎市教育委員会)
討論者:広田照幸(日本大学)
司 会:川口俊明(福岡教育大学)


 

課題研究(2):職場環境から教師の仕事を考える-外部環境の観点から―

 

【趣旨】
 第57回大会において課題研究「教師の社会学を展望する」が開かれてから6年になる。教師教育改革を見据えて,従来の教師研究をレビューし,今後の研究課題を展望するという趣旨だった。その後,各種教師教育改革がなされ,さらに次の動きも出始めている。この間,学会大会ではいくつかの教師研究が報告されているが,先の課題研究で提出された課題に応えるような成果を挙げてきただろうか。そして,その成果は,次の動きをクリティカルに捉えることができるだろうか。
 学力問題をはじめさまざまな教育問題と絡んで,教師が「教えること」についての議論は,社会的にも学術的にもある程度なされてきている。しかし,「教えること」を支える「職場環境」については十分に検証されてきたとは言いがたい。例えば,学校の規模・機能,クラスサイズ等の外部環境や,教員配置,学校経営や教師間の関係等の内部環境についての検討である。
 油布は,『リーディングス日本の教育と社会15 教師という仕事』(2009)を編集する際,「1980年代以降,社会の枠組みそのものが大きく変動しており,経済,社会,文化全般にわたる変動期にあるのに,教育を語る枠組みは未だ旧態依然とした古いものの中にあり,経済も社会も無関係なところにいるという問題がある」と指摘している。これまでの教育社会学における教師研究は,教師の実践や教師の同僚性や生徒等との関係については論じてきたものの,実践・同僚性・関係の環境(フレーム)を捉えるという視点を十分には持ち合わせていなかった。
 そこで,本課題研究では,従来からの「牧歌的で理念的な」(油布2009)視点を離れて,学校建築・施設・設備・機能,そして労働・組織・経営といった,教師を取り囲む職場環境における教師とその仕事のありようを社会学することにしたい。
 なお,それぞれのテーマごとに,教育社会学者とそれぞれの専門家を対比させて,それぞれの視点から職場環境における教師をどのように捉えることができるのか(できないのか)/すべきなのか(すべきでないのか)を論じていくことで,新たな「教師の社会学」の切り口を提示していく機会にしたいと考える。
 本課題研究は2年シリーズで検討しているが,1年目の今年は,外部的な職場環境として,学校建築,学校の複合施設化,学校規模の面から捉えることにしたい。
 人の動きや仕事を捉えるにあたり,建築学や経営学では,建物の構造-運用制度-利用者の三者関係を捉えることがあるようだが,教育社会学における教師の研究では,そのような視点は持っていなかった。しかし,教師は学校という建物の,職員室や教室の中で,その施設・設備を使いながら仕事をしている。では,学校という場(空間)はどのような特徴をもっていて,そのもとで教師はどのように仕事をしているのだろうか。そしてそれをどう受けとめているのだろうか。学校建築,学校の複合施設化と地域との連携,学校規模という3つの視点から論じていただくことにしたい。

 

【構成】

報告1 学校建築から捉える
     上野 淳(首都大学東京・非会員)
報告2:複合施設から捉える
     榊原孝彦(NPO法人ソシオ成岩スポーツクラブ・非会員)
報告3:学校規模から捉える
     葉養正明(国立教育政策研究所)
討論者:古賀正義(中央大学)
     金子真理子(東京学芸大学)
司 会:西島 央(首都大学東京)


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締め切り: 2018年3月7日(必着)
(今年度の受付は終了しました)


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