第65回大会:テーマ部会の発表申込み受け付け

 「テーマ部会」は、フロンティア的なテーマの開拓、学会大会のさらなる活性化を目的としています。テーマの募集をおこなった結果、今年度は下記の3つのテーマで発表者を募ることとなりました。会員の皆様には、ぜひ「テーマ部会」での発表をご検討いただきたくお願い申し上げます。
 発表をご希望の方は、ブリテン第158号とともに送付します「大会のご案内」に沿って発表の申し込みを行ってください。ご注意いただきたい点は、それぞれ、部会を構成できるだけの申し込みがあった場合にのみ部会を開設するという点です。申し込み件数が少ない場合には、当該の部会は開設しません。テーマに関係する発表をお考えの皆様は、ぜひともテーマ部会での発表をお申し込みくださるようお願いいたします。部会が開設できなかった場合は、当該の部会に申し込んでいただいた方には一般部会で発表していただくことになります。また、部会構成上、テーマ部会で発表を申し込まれても、一般部会での発表をお願いする場合もございます。発表の申し込みにあたっては、希望発表部会のひとつは必ず一般部会から選択するようお願いいたします。
 テーマ部会については、提案者にコーディネーターあるいは司会をお願いすることになっています。また、発表者が互いに発表内容を事前に知ることができるよう、発表要旨の交換をはじめとした情報交換などを研究委員会でお世話いたします。さらに、趣旨説明や総括討論の時間を十分とれるよう、プログラムを工夫する予定です。
 皆様の積極的な申し込みにより、3つのテーマのすべてにおいて部会が開設できることを願っています。部会開設の有無については学会のホームページにてお知らせします。
 3つのテーマ設定の趣旨は以下のとおりです。

(研究委員会委員長:北澤 毅)

 

テーマ部会1
「ポストフェミニズム言説の中の『ジェンダーと教育』再考-ジェンダー/セクシュアリティの多様性を巡って」

提案者:宮崎あゆみ(国際基督教大学・非常勤)

テーマ部会2
「階層文化と教育の歴史社会学」

提案者:佐々木啓子(電気通信大学)

テーマ部会3
「教育をめぐる排除と包摂2」

提案者:酒井朗(大妻女子大学)・西田芳正(大阪府立大学)

 


<テーマ部会1の【趣旨】と【キーワード】>
 この部会は、社会化・学校文化・労働など多面的な領域におけるジェンダー/セクシュアリティの多様化を分析することで、ジェンダー/セクシュアリティ研究の理論面・実証面での深化・活性化を目指すものである。
 ジェンダーと教育研究は、子どもの社会化や学校教育のメカニズムに密かに内在する性別秩序の生成過程を批判的に分析し、ジェンダー平等社会のあり方にも多様な理論的・実証的示唆を提示してきた。教育社会学の分野でも1980年代以降フェミニズム理論の影響は大きい。
 一方、欧米では90年代半ばより、フェミニズムに懐疑的な立場から、女子生徒が学業で成功を収め、ポストフェミニズム社会が到来したと主張するバックラッシュの言説も登場した。ジェンダーと教育研究者たちは、この「ポストフェミニズム言説」に対面し、それまでのリベラルフェミニズム的スタンスを見直す必要に迫られた。
 例えば、マクロビー(2009)は、 後期近代の新自由主義の中で、社会・文化的にもアカデミックにも成功した完璧な女子生徒という達成不可能な新しい女性性が規範になっており、女子生徒たちに多大な心理的コストを強いていると警鐘を慣らし、学業だけがイッシューなのではないと強調した。リングローズ(2007)は、「女子生徒成功言説」は、白人中産階級の女子の成功を利用して新自由主義の自己責任化の言説を強化していると批判し、階層・人種とジェンダーのクロスする多様性を分析することの重要性を主張した。さらに、90年代半ばから多くの研究が、学校を支配してセクシュアルマイノリティーを疎外する異性愛規範を分析し、ジェンダーとセクシュアリティの切り離せない理論的重要性について論じてきた。
 本テーマ部会では、日本、および欧米のジェンダーと教育社会学の異なった研究動向をふまえて、最新の理論的・実証的な発展を吟味し、「ポストフェミニズム」に及ばない日本の現状において、ジェンダー/セクシュアリティ研究をどのように深化させていけばよいのか、大きな枠組みから議論を行いたい。ジェンダー研究の方向性を問う理論的実証的研究・提言を行う発表をお待ちしています。
【キーワード】ジェンダー、セクシュアリティ、理論


<テーマ部会2の【趣旨】と【キーワード】>
 近代化は都市部に出現し時間軸にそって次第に地方へと敷衍していくプロセスとして捉えられ、「先進性と後進性」あるいは「中央(center)と周辺(periphery)」という二項対立図式で論じられてきた。しかし、大都市においても地方都市でも、それぞれに生活空間という「場」は存在する。A.ギデンズは都市の社会学的分析において日常的な概念としての「区域」、すなわち文化的な意味をおびた区域の重要性を指摘している。住居地域が階層性を帯びるのは資本主義社会における住宅の市場性によるものであり、政策的というより経済的活動の拠点の存在と最先端の医療機関、文化施設、そして学校群の存在である。
 多様な学校が存在する大都市圏において学校選択はある集団の人々にとって、特権階級の仲間入りをするための身分文化を習得するためであり、日本ではそうした身分文化や階層文化は女子において婚姻市場では特に意味をもっていた。一方、地方都市においては数において圧倒的な公立学校が高い水準の教育を提供し地域文化の拠点ともなり、名門の公立学校に所属することが生徒の階層性を表示し、それは階層文化となって保持されていった。しかし一部の地方都市ではキリスト教主義の学校や地域の教育家の創設による私学が、その地域のリーダーを輩出し、その地域の文化形成に大きな役割を果たしたと考えられる。裁縫女学校や保母養成所も職業資格というよりはそこで学ぶことがステイタスをもっていたという事実もある。
 こうした地域社会における学校教育は階層文化を形成し、その文化は正当化され、文化資本としてある階層の人々に保有され婚姻等によって階層の再生産に結びついたと考えられる。しかしそうした階層性はそれぞれの地域によって固有性と多様性をもつことから、一律な階層区分では論じられない部分がある。本テーマ部会では大都市圏と地方都市の両方を視野に入れ、地域性のなかの抽象的システムを析出してみたい。部会では総括討論で階層文化と教育についての分析視角について自由な議論が行われることを期待する。
【キーワード】階層文化、教育、大都市圏、地方都市


<テーマ部会3の【趣旨】と【キーワード】>
 本テーマ部会は昨年度に引き続き第二弾として提案するものである。昨年度のテーマ部会の趣旨説明にも記したように、労働の劣化と格差拡大の中で、教育は社会参加のための基礎的条件として保障されることが強く期待されている。しかし、教育機会は依然と不均等に配分され、社会経済的地位による不平等が生じている。また、高校教育は準義務化段階にあるものの、毎年多くの生徒が中途で退学している。
 本テーマ部会はこうした諸問題を「教育をめぐる排除と包摂」というキーワードで括ることにより、様々なテーマを扱う研究者が一同に会し議論する場を提供しようとするものである。森田(2009)が指摘するように、社会的排除や社会的包摂という問題設定は、現代社会に表れてきているさまざまな問題を、改めて社会的排除という視点からとらえ直し、社会のあるべき方向をめざして方向づけようとする。本部会はその趣旨を踏まえて、これからの社会や教育のあるべき姿を考えていこうとするものである。
 昨年度の部会では、単親家庭や児童養護施設の子どもの問題や同和地区の子どもの問題など様々な境遇の子どものおかれた状況や、高校中退や若年労働市場の課題など、多様なテーマが報告された。また、社会的排除の概念を採用することの意義と課題など理論面の議論もなされた。
 今回は昨年度を踏まえ、さらに多様な問題について幅広く討議するとともに、理論面でも議論を深めていきたい。また、グローバル化の流れは、一方では教育の質保証を求め、高校に学習到達度テストを導入しようという提案もなされている。教育をめぐる排除と包摂の観点からはこうした教育政策の動向をどのように捉えるべきかなどについても視野に入れていきたい。幅広い領域の研究者の参加により、本部会が昨年度以上に活性化するよう願っている。
【キーワード】社会的排除、社会的包摂


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