第86回日本社会学会大会・研究活動委員会テーマセッションの詳細

投稿日:2013年05月01日 カテゴリー:お知らせ、 カテゴリー:大会情報  投稿者:学会事務局

1】希望なき幸福? 若者の現在状況を問いかえす

Happiness without Hope? Rethinking Youth and Youth Studies

①コーディネーター:辻大介(大阪大学)

  Coordinator: Daisuke TSUJI (Osaka University)

②趣旨:

 いささか紋切り型めくが、現在の社会状況は、若者にとって将来への希望をもてるものとは言いがたいだろう。一方で、各種の調査統計は、とりわけ若年層において生活満足度等がかつてより高まっていることを示している。この若者の置かれた社会状況と、当事者的な感覚とのギャップについて、古市憲寿は大澤真幸の論を引きつつ、将来への希望のなさが、いわゆる「すっぱいブドウ(sour grapes)」的に現状を肯定するような幸福感をもたらしていると解釈している(『絶望の国の幸福な若者たち』講談社、2011年)。

 その解釈の適否もむろん問われるべきであろうが、まずは将来・未来への“希望”に紐付けられない形での“幸福”がありうるかもしれないことを前提に、若者の現在状況を問いかえすべきであるように思う。単なる年齢区分=「青少年」ではなく、ひとつの社会集団として分節された「若者」は、1960~70年代のその出自からして、よくも悪くも社会変革への“希望”――あるいはその裏面としての“失望”――と結びつけられてきた。そうした歴史的文脈にいったん距離を置いたうえで、若者が今ここを“幸福”に生きようとするありようとすべを、あらためて社会学的に分析・評価すべき時期にあるのではないだろうか。

 本セッションでは、家族、友人、学校(教育)、職場(労働)等々の具体的な局面を取りあげ、そこを生きる若者のありよう・戦略を分析することを通して、現在の社会における幸福なるものの意味論を多角的に検討する。それらの局面に認められるのは、はたして「すっぱいブドウ」の合理化なのか、もはや「ブドウ」を要さない幸福なのか。この点において、幸福な/不幸なという議論の軸そのものの問い直しを図る。さらにまた、現在、「若者」に着目することに(いかなる)意味がありうるのかについても議論できればと考えている。若手研究者だけでなく、幅広い世代からの参加を期待したい。

③キーワード:若者論、若者、青少年、幸福、価値観

 

2リスク社会論再訪

Reappraising the Risk Society Thesis

①コーディネーター:小松丈晃(北海道教育大学)

Coordinator: Takeaki KOMATSU (Hokkaido University of Education)

②趣旨:

 このテーマセッションでは、「リスク社会」論の含意をあらためて問い直し、東日本大震災後の状況の中での社会理論としての射程を、見定めてみたい。3.11以降の日本においても、この現代社会論に急速に注目が集まり、数多く論及されているが、いうまでもなくその背景の一つになっているのは、問題の時間的・空間的スケールの大きさゆえに問題の広がりや深さが即断できない/因果関係が見通しがたい/責任の所在が不明瞭になりがちである、などといった多様な不確実性を抱え込んだ諸問題とどのように向き合うべきかが問われていること、である。この点を考えるとき、ベックらが近年提唱している「非知(Nichtwissen/non-knowing)の社会学」という問題領域は重要である。2011年の震災以降も「想定外」が繰り返し口にされたことに象徴されるように、「知らない」ことは、現代社会にとって重要なキーワードの一つとなりつつあり、震災後の社会理論を、あるいは科学と社会の関係を構想していくには、何らかのかたちでこうした「非知」の問題を視野に入れる必要があるように思われる。このテーマセッションは、3.11以後の状況を踏まえながら、昨年度の研究活動委員会企画テーマセッション「震災問題を考える:リスク社会における『社会と科学の関係』」に連なるセッションとして、知と非知の複雑なありように焦点を当てた議論や、不確実性のもとでの決定にかかわる論点、さらに、広く科学と社会の関係にかかわる主張、あるいは(ベックのリスク社会論がそうであるように)近代社会の構造、たとえば機能的分化(の変容)と関連づけた議論など、リスク社会論を軸にして、非知をめぐる幅広い議論をおこない、ベックなどの学説研究にとどまらず、それらを一つの契機としながら、新しい方向で議論を組み立てていく手がかりを見出すようなセッションにしたい。

③キーワード:リスク社会論、東日本大震災、科学と社会の関係、非知

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