第88回日本社会学会大会 研究活動委員会テーマセッションの詳細

投稿日:2015年04月21日 カテゴリー:お知らせ  投稿者:学会事務局

【1】トランスナショナリズムの批判的再検討――グローバリズムに抗う「越境」を想像/創造する
 ①コーディネーター:塩原良和(慶應義塾大学)
 ②趣旨:
 昨今の社会科学では、国民国家の境界を越える(「越境的」)社会現象の拡大に焦点を当てるトランスナショナリズム論が注目されている。それは越境的な人的・文化的・政治的・経済的交流が増大する世界を展望するコスモポリタニズムに基づく規範的社会理論と通じるものがある。しかしこうした「越境の社会理論」の試みは、新自由主義的な物理的・社会的モビリティのフレキシブル化という意味での「越境」を礼賛するグローバリズムにどう対峙するかという課題に直面している。社会の分断を深めて人々の存在論的不安を高めるこのような言説に対して、ナショナリズムに回帰することなく対抗的言説を構築することはできるのか。それには、人々の社会的包摂と参加を担保してきた福祉国家や自由民主主義といったナショナルな枠組みをトランスナショナルに再構成していく構想力が鍵となる。
 この構想力は、社会の現場(フィールド)で起こっているさまざまな現象を方法論的ナショナリズムに囚われない視座から捉え、個々の現象の背後にトランスナショナルな連関の広がりを見出す想像力によって支えられる。こうした社会学的想像力は、日常における人々の実践の個別具体的な考察を通じて深められていく。本テーマセッションで目指されるのは、新自由主義的なグローバリズムに抗しつつナショナルな言説・制度を越境的に再構想する公共社会学的な試みと、個別具体的な現象を越境的なものとして再想像する実証的研究を接合することである。こうした目的に賛同してくださる応募者が、コスモポリタニズム、多文化主義、福祉国家、社会政策といった理念や制度をトランスナショナリズムという観点からとらえなおす研究、あるいは人々の日常実践におけるさまざまな越境の契機を具体的に浮き彫りにするような実証的調査に基づいた報告を寄せてくださることを願っている。
 ③キーワード:トランスナショナリズム、グローバリズム、越境、方法論的ナショナリズム、社会学的想像力
 ④使用言語:日本語

【2】専門職教育における社会学――現場にフィットする理論と方法の再創造
 ①コーディネーター:樫田美雄(神戸市看護大学)
 ②趣旨:
 専門職、とりわけ、対人サービス専門職の高等教育プログラムおよび実務者研修の課程においては、社会学教育の必要性が増しているといえるだろう。なぜなら、社会学こそは、複雑化する現代社会を読み解く基礎的能力を提供し、他職種や市民との協働を円滑にして各専門職の業務遂行を助け、さらには、社会変動への適応能力を高めて生涯学習の基盤となるものだからだ。
 けれども、大学および大学院における社会学教育の現況は、このニーズに応えていないように思われる。すなわち、教養教育科目としての「社会学」が終了したあとは、専門職教育課程においては「社会学系科目」はほとんど提供されておらず、学生や院生にとっては、社会学を習得して職業生活に活かして行くチャンスがない状態になっているのである。本テーマセッションでは、この問題を考えて行きたい。
 すなわち、テーマとしては、教養教育としての社会学教育、とも、社会学専攻における社会学教育、とも違う、対人サービス専門職に対する「職種別社会学教育」の可能性を考えて行きたい。なお、この構想には、専門職教育ニーズに誠実に対応することが、社会学研究の革新に繋がるだろうという研究的展望も含まれている。つまり、この教育改革は、各対人サービス現場にフィットした理論と方法を社会学に再創造させ、研究をも活性化させるだろう、と考えているのである。
 具体的な領域としては、教員養成、医療職養成、法律専門職養成、福祉職養成等の各分野に関わる登壇者を得たい。また、発表には、現行の慣習的・制度的な縛りに囚われない、未来志向の提案的なものが含まれることが望ましい。たとえば、教育担当者に、各専門職の職業人が、1 ~ 2 年の研修を受けて就任することがあってもよいだろう。また、国家試験や検定(例:医師国家試験、法学検定等々)や実務者研修制度の中に「社会学」を組み込むこと等も検討されてよいだろう。演題例としては、「医師養成において社会学に期待すること」、「教職免許更新講習の中での社会学の可能性」などが考えられよう。なお、本セッションに関連した日本社会学会の取り組みとしては、『社会学評論』61 巻3 号に「特集:周辺への/ 周辺からの社会学」があり、他学会においては、文化人類学会や経済教育学会での取り組みが先進的である。それら、近接学会の戦略と動向を報告する発表も歓迎したい。
 ③キーワード:専門職大学院、社会学教育、医学教育、教員養成、法職養成
 ④使用言語:日本語

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