アクターネットワーク理論と社会学研究会開催のお知らせ

投稿日:2019年03月14日 カテゴリー:イベント情報  投稿者:学会事務局

・日時:2019年4月28日(日)13:00~17:00ごろ

・会場:早稲田大学戸山キャンパス39号館 5階 第5会議室

キャンパスマップ: https://waseda.app.box.com/s/rjr9co01i8y1kuzr0wqnuyjbdx1n3pww

(※工事が終わり、以前とはキャンパスが若干変化していますので、ご注意ください)

・協賛:科学・技術と社会の会

 

★準備の都合上、参加予定の方はできるだけ下記アドレスまで事前にご連絡ください。★

★今回は参加できない場合でも、ご連絡をいただければ次回以降の開催予定等を共有させていただきます。★

 

今回は、現代フランスを代表する社会学者のリュック・ボルタンスキーを取り上げ、ご報告いただくことになりました。『正当化の理論』『資本主義の新たな精神』『胎児の条件』といった著作が邦訳されているボルタンスキーですが、アクターネットワーク理論(ANT)との接点も多く(以下の報告概要を参照)、社会の生成的な側面や遂行的な側面の捉え方について、理論・学説と経験的研究への応用という両面から考える機会にできればと思います。多くの方のご参加をお待ちしております。

 

1)13:00~15:00ごろ

「二つのプラグマティック社会学:その交差点と分岐点」

話題提供者:小田切祐詞 氏(神奈川工科大学)

 

ブリュノ・ラトゥールは、『社会的なものを組み立て直す』の中で、「社会的なものの社会学」と「連関の社会学」を区別し、前者の亜流としてピエール・ブルデューの「批判社会学」を、後者の下位類型の一つとして自身の「アクターネットワーク理論」を挙げている。ところで、ラトゥールも指摘しているように、ブルデュー社会学を「批判社会学」と最初に形容したのはリュック・ボルタンスキーであり、彼は自らの社会学を「批判の社会学」と呼ぶことで、ブルデュー社会学との差異化を図った。では、同じようにブルデュー社会学と距離を取ろうとするラトゥールの「アクターネットワーク理論」とボルタンスキーの「批判の社会学」はいかなる関係にあるのか。この問いに答えるために、本報告では、現在フランス社会学で市民権を獲得しつつある「プラグマティック社会学」という呼称の意味内容を検討していく。

 

2)15:00~17:00ごろ

「“計算の中心(Center of Calculation)”から離れた統計をどうとらえるかーアクターネットワーク、コンヴァンシオン理論、そして数量化の社会学」

話題提供者:ソンジュンウ 氏(コロンビア大学大学院)

 

本報告は、コンヴァンシオン理論との共同研究を通じて発展したアラン・デロジエールの数量化の社会学(sociology of quantification)に焦点を合わせ、計算装置の生産と流通を分析するラトゥールのアプローチとの相違について検討するものである。ものや出来事をそれが記録された現場から分離して、計算の中心(center of calculation)で動員できる形に翻訳するネットワークから生じる遠隔作用(action at distance)の可能性を論じたラトゥールの初期理論は、その可能性を拡大および安定化させようとする営みの連鎖(chain of abstraction)の中で様々な計算装置が果たす役割に注目した。このような計算装置の捉え方は、アクターネットワーク理論から由来したカロンとマッケンジーの遂行性アプローチのみならず、イギリスの会計の社会学的研究とアメリカの統計学史研究、そしてコンヴァンシオン理論にまでも影響を及ぼしたものである。本報告は、まず(1)ボルタンスキー、テヴノー、そしてデロジエールが共に取り組んでいた国立統計経済研究所(INSEE)の社会職業分類研究プロジェクト(1978-1981)から数量化の社会学を発展させた理論的問題を概観し、(2)その問題に対して数量化の社会学が初期ラトゥールと類似のアプローチを共有していたことを明らかにする。その上で、(3)数量化の社会学が1990年代以降に初期ラトゥールのアプローチから徐々に離れ、計算装置の生産と利用を導く多岐なるコンヴァンシオンの間の衝突と妥協の歴史に注目し、遠隔作用と計算装置の利用を結び付けるコンヴァンシオンを歴史的に相対化する方向へ進む過程を検討する。最後に本稿は、(4)このようなアプローチの転換が具体的な事例研究において持つ意味を示す例として、戦後日本官庁統計への国民経済計算の導入過程を取り上げる。

 

ソンさんの報告で取り上げる予定の文献:

1) Boltanski, Luc., & Thévenot, Laurent. (1983). Finding one’s way in social space: a study based on games. Social Science Information, 22(4/5), 641–680.

2) Thévenot, Laurent. (1984). Rules and Implements: Investment in Forms. Social Science Information, 23(1), 1–45.

3) Desrosières, Alain. (1991). How to Make Things which Hold Together: Social Science, Statistics and the State. In P. Wagner, B. Wittrrock, & R. Whitley (Eds.), Discourses on Society: The Shaping of the Social Science Disciplines (pp. 195–218). Dordrecht; Boston; London: Kluwer Academic Publishers.

4) Desrosières, Alain. (2001). How Real Are Statistics? Four Possible Attitudes. Social Research, 68(2), 339–355.

 

* 上記の文献が生産された、1970年代と1980年代のフランス国立統計経済研究所 (INSEE)をめぐる歴史的・学術的背景に関しては、Desrosières, Alain. (2011). The Economics of Convention and Statistics: The Paradox of Origins. Historical Social Research, 36(4), 64–81.が詳しく紹介している。

 

★連絡先: y_ttis@yahoo.co.jp (立石 裕二、関西学院大学)