『社会学評論スタイルガイド』

日本社会学会編集委員会

第1版刊行のことば

 『社会学評論スタイルガイド』は,『社会学評論』の執筆要項の書式部分を全面的に拡充・改訂したものである.『社会学評論』に投稿を予定している会員は,熟読し,細部までこのスタイルガイドにしたがっていただきたい.

 はじめに,私たちがなぜこれをつくったのか,そのねらいを説明したい.編集委員の役目柄,私たちは『社会学評論』に投稿された論文を最終点検しているが,痛感するのは,執筆要項がかならずしも守られておらず,投稿者によって論文の書き方がまちまちであるという残念な事実である.まったくの我流によっているのではないかと思われることもしばしばあった.学会誌にふさわしい誌面の統一性を保持するために,また近年の投稿数の増大に対応して,学会誌としての水準を維持しながら,査読を円滑におこなっていくためにも,ぜひとも書式などにかんする詳細なルールづくりが必要であると判断した.

 スタイルガイドの役割は,交通ルールにたとえられよう.人為的に定める約束事である.本スタイルガイドのやり方が「正しく」,他のやり方は「間違っている」というのではない.ルールである以上,学術雑誌ごとにスタイルガイドの細部が異なることは,当然ありうる.あるいは,出版社ごとにそれぞれ独自のスタイルガイドを用意していよう.重要なのは,論文の執筆にあたっては,発表しようとするメディアに応じて,それぞれのスタイルガイドにしたがわなければならないという「メタ・ルール」の感覚を身につけることである.

 本スタイルガイドでは,社会学界および関連学界の慣行や,論文の書き方の慣習を尊重しつつ,合理的だと思われるスタイルを採用することによって,『社会学評論』にふさわしいスタイルガイドをつくりあげ,確立していくことをめざした.できるだけ統一性と簡潔性,わかりやすさを重視したつもりである.大学院生など若い会員への教育的見地から,なぜある方式を採用するのか,考え方を説明するために,全体にやや詳しい書き方になっている.事細かに規制されるのを好ましく思わない会員もおられようが,以上の点をぜひご理解いただきたい.なお,このスタイルガイドで「望ましい」と述べている箇所は,執筆者の自主的な判断にゆだねる部分である.

 アメリカ社会学会は,ASA Style Guideを刊行している.細部にわたって論文の書き方と注意点を示した,全体でvi+39ページにおよぶ小冊子である.1991年から準備され,First editionが発行されたのが1996年,そして翌1997年に現行版のSecond editionが発行されている.ASA Style Guideと欧米の代表的な学会誌の執筆要項などを参考に,また何人かの編集委員が勤務校で実践してきた論文指導用のガイドブックでの経験をふまえて,このスタイルガイドの原案をつくった.

 本スタイルガイドは,あくまでも『社会学評論』への投稿原稿のためのガイドであり,原稿を印刷に付すことを前提としているが,プリントアウトそのものを見栄えよく仕上げたい場合についても簡単に付言したので,博士論文や修士論文などの執筆・指導のてびきとしても活用できるだろう.

 日本社会学会編集委員会のホームページからも閲覧・ダウンロードが可能である.

 私たちは1998年春から編集委員会で協議を重ね,成案をまとめる努力をしてきた.日本社会学会理事会,査読を担当する本誌専門委員,データベース委員会委員から意見をうかがったほか,日本社会学会ニュースや本編集委員会のホームページをとおして,一般会員からもひろく意見を募集し,改訂につとめてきた.さらに『社会学評論』の発売元の有斐閣をはじめ,社会学書の出版で実績のある数社の編集者からも参考意見を聴取した.ご意見をお寄せいただいたみなさまに深く感謝申し上げたい.編集委員のなかでも,スタイルガイドを担当された福岡安則委員は,原案作成,専用ホームページサイトの運営・改訂などに労を惜しまれなかった.

 なお今後も,不備な点が見つかれば,修正を重ねていきたい.お気づきの点や疑問の点などについては,ぜひ編集委員会宛ご連絡いただきたい.

 『社会学評論』は2000年3月刊行の号で200号を迎える.本スタイルガイドが会員のみなさまにひろく活用され,新しい時代の『社会学評論』がさらに魅力のある論争と交流のフォーラムの場として活性化していくことを願って,刊行のことばとしたい.

1999年8月15日

日本社会学会編集委員会前委員長
長谷川公一