大会長挨拶

第69回日本人類学会の学術大会・総会を産業技術総合研究所臨海副都心センターで開催することになりました。産業技術総合研究所(以下、産総研)は、2001年の独立行政法人改革に伴い、通商産業省傘下の15の研究所が統合して設立され、2015年4月から国立研究開発法人となりました。科学技術を産業界に橋渡しし、産業を強くして、社会をより良い方向に誘うことが産総研のミッションです。このような産業応用指向の研究所で日本人類学会の大会を開催するということに、違和感を憶えられるかも知れません。人類学は、人がどこから来たかを解明していく学問体系であると同時に、人がどこに行くべきかを指し示す役割も担っていると考えています。社会をより良い方向に誘うための産業技術には、人類学が必要です。ユニバーサルデザインは人類の多様性と関係があり、健康サービスには二足歩行が強く関与しています。多様性を受けとめ、人々が健やかに安全に暮らす社会を、産業を通じて創り出すことに、人類学も貢献しているのです。大会に付随するラボ見学会や公開シンポジウムを通じて、産業技術と人類学の接点を感じていただければ幸いです。

産総研臨海副都心センターは、東京・お台場に位置しております。新橋駅からゆりかもめ線で20分です。別館11階にすべての会議室を用意いたしました。見晴らしの良いホワイエからは、レインボーブリッジと東京ゲートブリッジを御覧いただけます。皆様のご参加を大会関係者一同、心よりお待ちしています。

第69回日本人類学会大会長・実行委員長
持丸正明
(産総研 人間情報研究部門 部門長)